資金調達の身近な選択肢の一つが「銀行からの借り入れ」です。
ですが、銀行との付き合い方や融資の仕組みはわかりにくいものです。
そのわかりにくい銀行融資を、一冊で事細かに解説しているのが、川北英貴著:銀行からの融資 完全マニュアルです。
- 経営者や財務担当者
- 実務経験の少ない経理担当者
融資審査の流れや融資実行に必要な書類の作り方、決算書の『見られ』方など、銀行がどのように企業を見て、企業はどう対応すればよいのかが書かれている本です。
書籍について
著者
著者は、元銀行員で資金繰りコンサルタントなどをされている川北英貴さんです。
概要
融資の種類や考え方など基本的な事柄から、審査の具体的な流れや資料作成、銀行との付き合い方など、借り入れするまでと借り入れしてからの知識が書かれています。
目次の章タイトルを抜粋しました。
Chapter1 融資の基本
銀行からの融資 完全マニュアル 目次より抜粋
Chapter2 銀行つきあいの基本
Chapter3 融資審査の基本
Chapter4 銀行による決算書の見方の基本
Chapter5 資料作りの基本
Chapter6 返済に困った時の基本
基本と書いてありますが、事細やかに書かれており、総ページ数が400ページ弱のすごい情報量です。
「借り入れに関する知識を伝えたい!」という、筆者の熱量・強い思いが感じられます。
内容は図表や具体的な金額をあげながら丁寧に解説されているので、融資の知識が無くても読み進められます。
経理の実務の勉強にもおすすめ
企業経営を担う人に即効性のある実践的な知識を得られるので、社長さんや資金繰りなどを担う財務担当者におすすめされています。
ですが私は、融資担当と接点がないような実務経験の少ない経理の方に、是非読んでいただきたいと思っています。
私は、今の会社で経理未経験からはじめて、財務を一部担う立場にいますが、経験の浅いうちから読めていたら……と強く思いました。
私の若い時にはこの本無かったんですけどね💦
最初のうちは、融資担当者と何を話していいのかわかりません。
特に、どこまで話してよくて、どのような話し方をしたらダメなのか判断がつきません。
本書で、経理事務からのキャリアアップに必要な、融資に関する現場の知識や融資という視点からの資料作りを学んでほしいです。
また、次のような企業の方にも参考にしていただけます。
- 銀行借り入れの経験がない
- これから事業を始める
- メインバンクとしか取引していない
- これから追加の借り入れを考えている
- 既存の借り入れを見直したい
- などなど
既存や新規の銀行との付き合いを考える場合は、一度この本を読んで、整理してはいかがでしょうか。
良かったポイント 4選
私は本書で、経験の中で得た知識の整理ができ、まだ知らなかったことを学べました。
学ぶべき点はたくさんあるのですが、その中でも、私が特に良いと感じたポイントを4つ挙げます。
- 銀行の信用格付けと取引方針
- 付き合う銀行の見極め方と付き合い方
- 決算書の科目ごとの捉え方・考え方
- 返済に困ったときの対応
ポイント① 銀行の信用格付けと取引方針
今付き合いのある銀行の支店や担当者の、自社に対する評価や取引方針を知る、又は推測できます。
「銀行によって違うな」と感じることは普段からあります。
- A銀行は積極的に提案があるけど、B銀行はそんなでもない
- A銀行の担当者は支店長代理だけど、B銀行は役職なし
- A銀行の担当者はよく訪問してくるけど、B銀行はほとんど顔を見ない
この評価を受けて、自社にとっての取引銀行の位置づけを見直すことにつながります。
ポイント② 付き合う銀行の見極め方と付き合い方
地銀の合併や資本提携を頻繁に耳にするようになりました。
隣県または2県挟んだ他府県の地方銀行がわざわざ営業に来ることもあります。
こんな時代、どの銀行と付き合っていくのかは、企業として常に考えておかねばならないことです。
- メインバンクとの付き合いを保ちつつ、別の銀行とも付き合いたい
- より良い融資条件をもってくる銀行と付き合いたい
その際に本書の知識が大いに参考になります。
どういった取引から始めたらよいのか、どうなったら潮時なのか、付き合いの比重を決める判断が必要になるからです。
ポイント③ 決算書の科目ごとの捉え方・考え方
貸借対照表や勘定科目内訳明細書に記載されている勘定科目について、銀行がみる視点と聞かれたときの回答を解説されています。
貸付金、未払金、売掛金など、ひとつひとつ勘定科目ごとに細かい説明があります。
これらを参考にし、数字に曇りのない決算書(粉飾ではない)を作って、経営者や財務担当者が財務状況を把握できている状態をキープすれば、銀行融資が必要になってもすぐに動くことができるでしょう。
ポイント④ 返済に困ったときの対応
借入金の返済が滞ったときに返済条件(月の返済額など)を見直すことをリスケジュールといいます。
私はしたことがないのでわかりませんが、リスケジュールがどういうものか、そうなる前にできることは何かなども知ることができます。
他にもある学びのポイント
情報量が多いので、一部をピックアップすると、
- プロパー融資と保証協会付き融資の違いと使い分け
- 複数の銀行との融資比率や融資の切り替えの考え方、駆け引き
- 融資審査の流れやポイント、問答事例
- 融資に必要な書類のサンプルや書き方、数字の見せ方(サンプルはダウンロードリンクの記載あり)
- などなど
何が学べるかもっと知りたい方は、書籍の目次を確認してください。
Amazonの下記リンクから試し読みをタップ(クリック)すると、目次が確認できますよ。
経営者や財務担当者にとって実践的な書籍ですが、経理で実際に働き始めた方の参考書としても価値のある本です。
基本を学ぶのは早いに越したことないですよ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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